錦影絵
(2026.3.7更新)
錦影絵は、関東では写し絵と呼ばれる幻燈を用いた芸能。風呂とよばれる幻燈機で、スライドに相当する種板のガラスに描かれた絵を和紙のスクリーンの後ろ側から投影する。リアプロジェクションによるアニメのライブショーのようなもので、種板の仕掛け、風呂の移動やレンズの操作で、映画に用いられる基本的な映像効果はほとんど可能であったといわれ、錦影絵師が操作と声優をつとめ、囃子などの音響も入る。大阪では千日前や御霊神社境内(中央区)に常設の小屋があり、映画が登場する明治時代までは、子どもの娯楽として人気を博した。大阪歴史博物館では、大阪の錦影絵師、四代目富士川
都正旧蔵の道具として種板820点、京都の歌川都司春旧蔵の風呂1点を収蔵する。種板は一時期、喜劇の曽我廼家五郎が所蔵していたものである。平成28年度大阪市指定文化財(有形・歴史資料)。(澤井浩一)
風呂
本館蔵 大森寅之進氏寄贈
種板の画像を投影する木製の幻灯機。光源を収める本体部分とレンズ部分からなる。着脱可能なレンズ部分は、ヘリコイド的に伸縮し、焦点合わせ、拡大・縮小を行える機構で、前面に布製シャッターが装備される。現在の光源は白熱電球だが、元は石油ランプであったと考えられ、本体上部には放熱およびランプの火屋を出すための穴がある。種板は本体側面と上部のスリットから差し込む。京都の錦影絵師、歌川都司春の旧蔵品。種板「道化獅子買」
本館蔵 大森寅之進氏寄贈
落語「池田の猪買い」に取材した演目の種板で、全部で19枚。描かれる総画数は68点で、動きのある絵は15点、背景画が19点で、猟師や猪などの登場人物のほか、背景には心斎橋の交番や鉄橋、案山子などがあり、落語にはない妖怪の絵も含まれる。種板は桐材で多くはスライド構造となっている。本体とスライド板に開けた窓に、絵を描いた薄いガラス板が嵌められ、スライド板を操作して絵の人物の顔や手足の動き、場面転換などの投影画像の変化を生み出す。四代目富士川都正旧蔵品。種板「相馬 口」
本館蔵 大森寅之進氏寄贈
平将門の遺児で、謀反を企む滝夜叉姫の物語に取材した演目の種板。全部で17枚あり、総画数116点、動きのある絵11点、背景22点である。姫が妖術で妖怪を呼び出し仲間を集め、将門が築いた相馬の古内裏を根城にすることから、古内裏の廃屋の背景、妖怪変化が多く描かれている。長大な骸骨の行列を表す長引きの種板も含まれる。四代目富士川都正旧蔵品。

