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宮城県里浜貝塚(下郷コレクション)

(2021.1.27更新)

下郷コレクションは、かつて下郷共済会が所蔵していたコレクションで、なかでも縄文時代資料は質・量ともに優れています。そのほとんどは明治時代に活動した個人蒐集家・高島唯峰によって集められたもので、関東地方から東北地方に分布する貝塚などの出土資料約数千点が含まれています。

里浜貝塚は宮城県の松島湾に所在します。貝塚のある場所は古くは「宮戸島」と呼ばれており、縄文時代の資料が採集されることで知られていました。高島唯峰が実際に当地へ訪れたかについてははっきりとした記録が残っていませんが、ここからさらに北上した岩手県陸前高田市でも採集を行っていますので、おそらく里浜貝塚にも立ち寄っていたでしょう。里浜貝塚ではたくさんの骨角器や土器・石器を採集して東京へ持ち帰っています。


把手付鉢形土器
【時代】 縄文時代中期中葉
【残存高】 71mm
【解説】 二つの把手が特徴的な土器です。底は復元のため、もしかすると別の形状だったかもしれません。「宮戸島」と「大峯」の注記が残されています。「大峯」は宮戸島にあった字名ですが、現在同地に貝塚の存在は確認されておらず、近辺に所在する同貝塚別地点からの出土を錯誤した可能性が高いです。
把手付注口土器
【時代】 縄文時代中期末葉
【残存高】 97mm
【解説】 筒状の装飾を口辺周縁につけた注口土器。大木10式。この土器にも「宮戸島」と「大峯」の注記が残されています。

小型深鉢形土器
【時代】 縄文時代後期
【残存高】 134mm
【解説】 ほぼ完形に近い、小さな深鉢形の土器です。関東地方の縄文時代後期にあたる加曽利B2式土器(あるいはその影響を強く受けた土器)です。
壺形土器
【時代】 縄文時代晩期
【残存高】 60mm
【解説】 口縁部の一部と胴部下半を欠損。口辺には縄文が施文され、肩部には羊歯状文が全周。大洞BC式(併行)。内面に「宮戸島」の注記が残ります。

壺形土器
【時代】 縄文時代晩期
【残存高】 160mm
【解説】 全体に黒味の強い、丁寧に表面が磨かれた土器です。東北地方晩期の大洞C2式のものです。表面にはいくつもの浅い穴が残っていますが、おそらくこれは地中に埋没していた間に動物または昆虫に付けられたものでしょう。
小型無頸土器
【時代】 縄文時代晩期
【残存高】 40mm
【解説】 完形。胴部の中央で最大幅をもち、上面中央で開口。上半部は刺突隆帯により6つに区画されています。大洞C式。精緻な文様で全面が赤彩されること、小型であることなどからみて、特殊な用途を意図して製作された土器だったのでしょう。

鹿角製釣針未成品
【時代】 縄文時代後期~晩期
【残存長】 173mm
【解説】 釣針の形状を作り出す途中で廃棄されたのでしょう、先端に成型中の釣針が付いた状態の鹿角です。鹿角表層の硬い部分を使って釣針を作っている様子がよく分かります。
土偶
【時代】 縄文時代晩期
【残存高】 150mm
【解説】 両足は失われており、左手と右腰部分は復原されています。胴部に「宮戸島」の注記が残っています。

土偶
【時代】 縄文時代晩期
【残存高】 92mm
【解説】 腰から脚は失われています。首の後ろ側の模様が透かし彫りになっており、この土偶が中空である状態がよくわかります。胴部背面に「宮」の文字が確認できます。