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銭司ぜず遺跡 和同開珎わどうかいちんの鋳型

(2025.7.8更新)

令和7年7月2日(水)~9月29日(月)予定

京都府木津川市加茂町所在の銭司遺跡では、過去の発掘調査において、るつぼ・ふいごの羽口・鉱滓などの鋳造に関連する品々が出土しました。さらに、和同開珎やえだぜにの破片が採集されていることから、和同開珎を鋳造していた可能性が高いと考えられています。「金鋳山」「金谷」「和銅」などの字名があることも注目されます。これらの状況から銭司遺跡は、古代において貨幣の鋳造を担った「ちゅう銭司せんし」の一つ「岡田鋳銭司」にあたる可能性が指摘されています。
 ただし、鋳造が行われていたことの決定的な証拠となる鋳型は、その実態がよくわかっていませんでした。一方、大阪歴史博物館の収蔵品を確認する作業のなかで、「京都府相楽郡加茂町銭司」のラベルが付帯する、鋳型を含む鋳造関係遺物が改めて見出されました。旧蔵者の長尾ながお卯吉うきち氏が入手した経緯は明らかでないものの、このラベルにしたがえば、銭司遺跡やその周辺で採集されたものということになります。古代国家による貨幣鋳造の実態に迫りうる資料とみられることから、このたびご紹介することにしました。

(岡本)

和同開珎の鋳型
伝・京都府木津川市加茂町銭司 採集
奈良時代(8世紀) 本館蔵(長尾卯吉氏寄贈)
和同開珎の鋳型
和同開珎は国家が発行し全国に流通した奈良時代の貨幣です。今回展示した鋳型は、2.9㎝ほどの厚さがあります。下地に粘土と砂を混ぜた荒い真土まね、表面に細密な真土の層があります。鋳型のうち1点は湯道の一部が残存しています。銭径は2.6㎝あります。るつぼ、ふいごの羽口、鉱滓、木炭などの鋳造関連遺物も一緒に伝わっています。
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