近代化となにわの商い
(2021.12.8更新)
2021年12月8日(水)~2022年1月31日(月)
※火曜日・年末年始〔12月28日(火)~1月4日(火)〕は休館
大阪歴史博物館では、令和3年12月8日(水)から令和4年1月31日(月)まで、常設展示10階・9階・7階の各所において、「近代化となにわの商い」を共通テーマに展示をいたします。いずれも常設展示観覧料でご覧いただけます。この機会にぜひご観覧ください。
近世の大阪は「天下の台所」とよばれ、商業や産業の中心地として栄えました。世界における先物取引のさきがけとなった堂島米市や、「現金掛け値なし」で知られる三井呉服店など、商業のエポックとなった発想が次々と生まれ、全国の富が集まりました。明治維新ののち首都が東京へ遷り、大阪の経済は一時期停滞しますが、五代友厚という傑物の登場により甦ります。近代化とともに復興した大阪の商いにかかわる資料を展示します。
9階 幕末・維新の大阪
【大阪開港の最前線】五代友厚・小松帯刀書簡
|
|
- 五代友厚・小松帯刀書簡
- 慶応4年(1868)3月25日
個人蔵
|
慶応4年に勃発した戊辰戦争のさなか、旧幕府軍が大坂から撤退し新政府軍の統治下になると、薩摩の大久保利通は大阪遷都を提言しますが公家らの猛反対で頓挫します。その代替として、慶応4年3月、明治天皇の大阪行幸が行われました。天皇自ら大阪を訪れ、陸海軍を点検し、威信を示すためでした。当時外国事務局判事だった五代才助(友厚)と小松帯刀は、川口居留地の完成前から大阪に滞在していた外国人らに対し、往来の自粛を求めています。若き日の五代が大阪開港の最前線で活躍する姿が想像されます。(島﨑) |
9階 天下の台所
【現金掛け値なし】三井呉服店図絵馬
|
|
- 三井呉服店図絵馬
- 嘉永2年(1849)
松阪市指定文化財 岡寺山継松寺蔵
|
三井越後屋呉服店は江戸と京都で開業し、大坂へは元禄4年(1691)に高麗橋筋と堺筋が交差する角に出店しました。三井は、それまで掛け売り(商品を高く、後払いで販売すること)が常であった呉服販売において、店頭で正札とおりに現金と引き換える「現金(銀)掛け値なし」の新たなビジネススタイルを確立したことで知られています。この大絵馬は、三井家から継松寺に奉納されたもの。描かれた間口55メートルにもおよぶ店先は、呉服を求める人々であふれています。江戸・大坂間の送金を円滑に行うために併設していた両替店は、明治以後、日本初の民間銀行に発展し、やがて百貨店や総合商社設立へつながってゆきます。(俵)
|
9階 天下の台所
【先物取引のさきがけ】秋田藩米切手
|
|
- 秋田藩米切手
- 江戸時代(19世紀)
本館蔵
|
米切手は、蔵屋敷で米を落札した商人が代銀を払えば交付され、堂島米市で売買されました。米切手を期限内に蔵屋敷に持参すれば、現物の米と交換できました。しかし、この米切手には落札者と入札日がありません。借銀の担保として秋田藩の大坂蔵屋敷が発行したため、現物の米の裏付けがなく、米が届かなければ切手の持ち主の損失になります。こうした米切手売買のリスクを和らげるため、帳簿上で架空の米の売買を記録し、その差額を決済する先物取引の原型となる商いが考案されました。(島﨑) |
7階 引札と広告
【文明開化とともに】弘得社引札
|
|
- 弘得社引札
- 明治30年(1897)
本館蔵(柴垣コレクション)
|
明治時代となり、西洋から新しい生活習慣がもたらされました。牛肉を食べたり、牛乳を飲んだりすることも、そのひとつです。この引札は、大阪市西区の北堀江にあった弘得社のちらしです。精肉や牛乳を販売しており、「肉を以て肉体を養う」というキャッチコピーも付けられています。なお、明治末に創業した弘得社(のちのスエヒロ)は、同社から暖簾分けしたものです。(船越)
|
10階 百済尼寺
【なにわの商売のルーツ】細工谷遺跡の和同開珎
|
|
- 細工谷遺跡の和同開珎
- 奈良時代(8世紀)
大阪市指定文化財 大阪市教育委員会蔵
|
細工谷遺跡(大阪市天王寺区)から、日本初の流通貨幣である和同開珎やその鋳造に関わる遺物が見つかっています。写真中央は、鋳棹に6枚の和同開珎が取り付いた「枝銭」で、一度にたくさんの銭を鋳造したことがわかります。しかし、鋳造された和同開珎は重さや銅の純度がばらばらで、平城京周辺で作られたものより品質が劣ります。奈良時代には私的に鋳造された銭が一定量出回り、たびたび私鋳銭禁止令が出されています。細工谷遺跡の和同開珎も私鋳銭の可能性が高いのですが、商売の基礎となる貨幣の普及に貢献していたと言えるでしょう。(松本)
|
フロア / 10階 |
コーナー / 百済尼寺 |
 |
フロア / 9階 |
コーナー / 幕末・維新の大阪 / 天下の台所 |
 |
フロア / 7階 |
コーナー / 引札と広告 |
 |
関連行事
リアル歴史巡礼クイズ 五代友厚と歩く幕末・明治の大阪
大阪歴史博物館で問題キットを受け取り、そこに示された街のポイントを巡りながらクイズを解いていきます。すべての問題をクリアした方には、ゴールの大阪歴史博物館で記念品を進呈します。
主 催 |
大阪歴史博物館 |
後 援 |
大阪商工会議所、公益財団法人大阪観光局 |
開始日 |
令和3年11月1日(月)~販売数に達し次第終了
※火曜日、年末年始(12月28日から1月4日)休館
|
会 場 |
大阪歴史博物館 および淀屋橋・北浜エリア |
価 格 |
2,500円(大阪歴史博物館入館料を含む)
・パスマーケットおよび当館1階受付で販売
|
公 式 サイト |
https://godai.rekishinazotoki.com/ |