
松本喜三郎作 池之坊(頭部と手)
明治4年(1871) 大阪歴史博物館蔵 ※写真は頭部のみ
松本喜三郎の一世一代の大作「西国三十三所観音霊験記(さいごく さんじゅうさんしょ かんのん れいげんき)」十八番六角堂に用いられた池之坊の人形。東京浅草で明治4年、大阪では千日前で明治12年(1879)に初興行され、当時の見世物番付には、稚児姿で現れた本尊から、池之坊が座して生花の法を伝授される場面が描かれている。この興行の人形はほとんどが海外に流出したと考えられていたが、平成12年に大阪市立博物館(現・大阪歴史博物館)の調査により高槻市内の民家で「池之坊」が発見され、寄贈された。今回の展示は、大正3年(1914)の最後の興行から90年ぶりの公開となる。
松本喜三郎作/江島栄次郎修復
谷汲(たにぐみ)観音像
明治4年(1871)/明治31年(1898)
熊本市・浄国寺蔵 撮影:永石秀彦
松本喜三郎の一世一代の大作「西国三十三所観音霊験記」三十三番谷汲山華厳寺の場のために作られた観音像。寺院の縁起を語る場面で、厨子(ずし)から出現した観音を巡礼姿の人形に仕立てた。喜三郎会心の作として東京浅草の寺院に預けられ、興行には別に1体が制作された。明治20年(1887)には喜三郎ゆかりの浄国寺に奉納された。国内で唯一完全な姿をとどめる作品だが、明治31年には大きな損傷のため、喜三郎の弟子である江島栄次郎が全面修理しており、栄次郎の作品ともいえる。熊本県指定重要文化財。
松本喜三郎作 貴族男子像
明治11年(1878) アメリカ合衆国・スミソニアン博物館人類学部門蔵
アメリカ合衆国農務局長であったホーレス・ケプロンが、北海道開拓使顧問として日本に在住していた時代に松本喜三郎に注文し、アメリカ本国に持ち帰った「貴族夫婦像」2体のうちの1点。右足裏に作者本人の刻銘があり、売買の経緯を示す領収書が存在し、裏付け資料のある数少ない喜三郎の真作のひとつである。スミソニアン自然史博物館の収蔵庫での長き眠りを解かれ、今回の展示は126年ぶりの里帰りで日本初公開。(写真なし)
江島栄次郎作 賊僧(ぞくそう)(頭部)
昭和10年(1935) 熊本市立熊本博物館蔵
松本喜三郎の弟子である江島栄次郎が制作した「清正公一代記」(12場)と題した生人形興行のために制作されたもの。熊本市・本妙寺で営まれた清正公御遠忌三百二十五年祭に出された加藤清正の面影を紹介する一代記の興行で、この生人形は「鬼面を被り賊をきる」の賊僧である。
松本喜三郎作 カニ明治21年(1888) 島田美術館蔵
撮影:永石秀彦
作者不詳 相撲像1910年代 個人蔵
撮影:佐藤喜之
安本亀八(三代)作 少年像明治34年(1901) 個人蔵
撮影:佐藤喜之
茶室(ブレーメン市立自然史・
民族・商業博物館での展示風景)1910~20年代 資料
提供:Archiv Übersee-Museum Bremen, Germany