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戦国アバンギャルドとその昇華 変わり兜×刀装具
(H25.10.9更新)

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【重要文化財】
黒漆塗桃形大水牛脇立兜
(くろうるしぬりももなりだいすいぎゅうわきだてかぶと)

黒漆塗桃形大水牛脇立兜

桃山時代 福岡市博物館蔵 (撮影:藤本健八氏)

福岡藩初代藩主黒田長政(1568~1623)所用の兜で、両脇に大きな水牛の角を模した造形を配しているところから、古来「長政の大水牛兜」として名高い。見た目に比して2650グラムと軽量で実戦的である。造形的には、兜の鉢(ヘルメット部分)と、その両脇に大きく突き出した角の造形が破綻無く調和し、緊張感の中に心地よいバランスを生み出している。戦国の緊張感が紡ぎ出した、日本美の極みである。

【重要文化財】
黒熊毛椎形兜
(くろくまげしいなりかぶと)

黒熊毛椎形兜

 桃山時代 仙台市博物館蔵

伊達家伝来の「銀伊予札白糸威胴丸具足(ぎんいよざねしろいとおどしどうまるぐそく)」のうちの兜部分。伊達家の記録の記載にある「熊毛ノ御冑(くまげのおんかぶと)」「御團扇相副へ(おんうちわあいそなえ)」などと特徴が合うことから、天正18年(1590)に伊達政宗(1567~1636)が豊臣秀吉(1537~1598)から拝領したものと考えられている。

黒い熊毛を植えられた兜は、前後に金箔を押した派手な団扇を備え、要所には菊桐文の蒔絵が施される。いかにも秀吉好みらしい絢爛豪華な兜である。


熊頭形兜(くまがしらなりかぶと)

熊頭形兜

 江戸時代 個人蔵

江戸時代に入ると変わり兜の造形は多様化する。その背景には、泰平の世で本来の用途を失った兜が、贅を尽くすべき調度として変貌を遂げたことなどがある。江戸期を通じ、さまざまな造形の兜が制作され、奇をてらった作品や装飾過多な作品などバラエティ豊かな兜が今に残されている。この兜は鉄の鉢の上に熊の頭部を形作り、朱漆や金泥で彩色したもので、大変ユニークな作品のひとつである。


【重要文化財】
金圧出亀甲繋文腰刀拵
(きんへしだしきっこうつなぎもんこしがたなこしらえ)

金圧出亀甲繋文腰刀拵

桃山時代 個人蔵

細川幽斎(1534~1610)・三斎(1563~1645)の腰物として細川家に伝えられた豪華な拵。圧出し(裏に型を置き表から押す)した金の薄板を白木の鞘に被せた総金作りで、鞘には細川家の家紋である九曜紋と、花菱紋が整然と配列されている。狂いのない地紋様を手仕事で仕上げており、当時の最高水準の仕事である。金具まですべて金で作れるところを、あえて縁頭と目釘に部分的に黒を用いて全体を引き締めている点に、センスの良さが感じられる品である。

【岩手県指定有形文化財】
雉子尾雌雄御太刀拵
(きじおしゆうおんたちごしらえ)

雉子尾雌雄御太刀拵

江戸時代(延宝5年:1677) もりおか歴史文化館蔵

足利将軍家より南部家が拝領した拵が焼失したことを受け、これを忠実に復元した作。南部家の家宝を伝える文書には常に筆頭に記され続けた重宝である。柄(つか)の先端部をそれぞれ雌雄の雉子の頭部に見立てて多様な色の金属を組み合わせて形作り、細かな線刻で毛並みを彫って表す。一方鞘部分は、羽先のような趣で先端部を作り込み、そこに羽毛文様を色漆で描き表している。彫金・漆工というさまざまな技法が駆使された技巧的な作で、俯瞰して見ると、2羽の雉子のようにも見えてくるから不思議である。

朱塗小刻鞘打刀拵
(しゅぬりこきざみさやうちがたなこしらえ)

朱漆小刻鞘打刀拵

※写真は部分図

江戸時代末期 佐野美術館蔵

朱漆を小刻みに塗り上げた鮮やかな朱鞘に、様々な素材を象嵌した金具が附属する贅沢な拵。鐔には幕末の京金工・皆山応起の作者名と、「文化五(※1808年)戊辰応需彫」の銘がある。南天・万両の実をついばむ小鳥の居る景色を、珊瑚や七宝象嵌、高彫色絵で表現したにぎやかな鐔で、同種の趣向だが作者が異なる縁頭(ふちがしら)に合わせるよう、依頼され制作されたものと思われる。富裕な町衆が好みそうな、華やかな作である。

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