(H27.4.20更新)

二世貞信 佳人の花広告
明治31年(1898) 本館蔵(今中富之助氏寄贈)

山口草平 河庄の図
昭和11年(1936) 本館蔵(今中富之助氏寄贈)
初世鴈治郎の最大の当たり芸、「心中天網島」河庄の場の紙屋治兵衛を描く。贔屓であった今中氏が初世の一周忌に際して求めたもので、掛軸の表具にも鴈治郎の紋であるイ菱紋があしらわれる。山口草平は、昭和10年の鴈治郎の死絵(歌舞伎俳優の死去に際して出版される役者絵)を描いた日本画家。

化粧前 明治時代
本館蔵(四代目坂田藤十郎氏寄贈)
中村鴈治郎家に伝来した楽屋で使用する鏡台。朱漆塗に鴈治郎のイ菱紋、などの歌舞伎俳優の紋を散らした華やかな意匠である。明治9年(1876)の箱書があり、意匠には

「廓文章」の藤屋伊左衛門を演じる初世鴈治郎を描く。文芸雑誌『喜楽』の付録として出版されたもので、勘当され遊里に現れた伊左衛門の紙衣 姿に化粧品の名を記した広告となっている。伊左衛門役は、「河庄」の紙屋治兵衛などとともに初世鴈治郎の当たり芸をまとめた「玩辞楼 十二曲」のひとつに数えられている。