天山山脈(てんざんさんみゃく)北側を通り黒海へとつながる草原の道(ステップロード)は、すでにヘロドトスの時代(紀元前5世紀)から知られていた交易路でした。草原の遊牧民族は、家畜と移動しながら暮らしたために都市や集落を築きませんでしたが、交易の担い手として様々な文物を残しました。このコーナーでは、サカ・匈奴(きょうど)・フンなど遊牧系の諸民族が残したまばゆいばかりの金銀製品の数々、青銅製の生活用具、絹織物などを展示します。
▲貴石象嵌金製マスク
(きせきぞうがんきんせい)
ボマ古墓 4~6世紀
イリ州博物館
眼・眉・ヒゲに赤色の貴石を配した死者のマスク。葬送にまつわる遊牧民族の風習を表わしている。
▲男子像
七十一団漁場墓 前5~前3世紀
新疆ウイグル自治区博物館
鉤形(かぎがた)かざりの帽子をかぶった大型の男性像。遊牧民族を象(かたど)ったものであろう。
▲貴石象嵌金製指輪
(きせきぞうがんきんせいゆびわ)
ボマ古墓 4~6世紀
イリ州博物館
赤色の貴石を嵌(は)め込んだ指輪。輪の部分は全面を金の細粒で飾っている。
▲貴石象嵌金製杯
(きせきぞうがんきんせいはい)
ボマ古墓 4~6世紀
イリ州博物館
赤色の貴石を象嵌し、虎形の柄をつけた杯。遊牧民の貴族に好まれた豪華な品である。